添加剤
添加剤とは、エンジンオイルに含まれる物質で、次の通りの作用があります。
■酸化防止性:エンジンには燃焼室という高熱部分があるので、これに近いピストンリング、シリンダ壁、バルブステムなどで潤滑作用をしているオイルは、うすい皮膜状態のもとで高温になり、また、化学的に活性化された高熱ガスと接して、酸化反応が著しく促進されます。
また、コネクティングロッドやクランク軸、ベアリングの潤滑部では摩擦熱による高温のほかに、オイルには回転のため非常な圧力がかかます。このような圧力も酸化を促す一つの要因です。
さらに、金属摩耗粉による触媒作用も、酸化を促す要因であり、これらを防止するために酸化防止剤が添加されています。
■腐食防止性:燃料が燃えるときに生じるいろいろな酸、とくにディーゼルエンジンでは硫黄分が燃えてできた硫酸が、金属を腐食し、摩擦部分では一層激しい摩耗をおこします。
このため、添加剤は、侵入してくる酸を中和する能力があり、酸による腐食摩耗から充分保護します。
■さび止め性:運転中のエンジンを止めると、エンジン内部は排気ガスによる酸性雰囲気のまま閉じ込められ、温度は大気温まで下がます。排気ガス(吹抜けガス)中の水分は凝縮してピストンやシリンダに水滴となって付着し、酸性ガスはその水滴の中にとけ込むはじめ、オイルの皮膜で覆われていた金属表面も、徐々に酸性水分の薄い膜におきかわり、空気中の酸素を受けて、点々とさびを発生します。
農業用エンジンは、使用期間外は長期間格納しておく機会が多いので、さびが発生しやすい条件にあるといえます。
■アワ立ち防止性:オイルパンからポンプによって循環給油されている形式では、オイルが運転中に攪拌されてアワ立つと、オイルポンプはアワをかき込み、一時的に給油が途切れることになります。
これでは円滑な潤滑ができないので、アワ立ち防止剤が添加してあります。